PROFILE
平井 上総 教授
専門分野は日本史。特に戦国時代などをテーマに研究。「日本史演習」「日本史特講」「歴史資料論」などの科目を担当。
文化総合学科 2年 I.Wさん(北海道江差高等学校 出身)
歴史?思想専修を選択。平井ゼミに所属。社会科系の教員を目指して教職課程を履修。百人一首部で活動中。
Iさん 文化総合学科は、社会科系の学問が幅広く展開されていること、社会科の教員になりたいという夢を叶えられることから進学しました。社会科系の中でも特に歴史が好きになったのは、小学生の頃のゲームがきっかけです。そこから戦国時代に興味を持ち、戦国時代?織豊時代を専門とする平井先生のもとでぜひ学びたいと思いました。
平井先生 ありがたいことです(笑)。
Iさん 大学の学びを通して大きく変わったと感じるのは、文献から得た情報に対して批判的な思考というか、自分で考える習慣がついてきたことです。
平井先生 先行研究を鵜呑みにするのではなく、本当にそうなのかというツッコミどころを探しながら見てみましょうとゼミで話していますが、実際にそうしてくれているのは素晴らしいです。本学科では1年次から基礎演習というゼミに取り組みますが、「現代社会専修」「歴史?思想専修」の2分野があり、前期と後期で違うゼミを選ぶ仕組みにしています。Iさんの場合は学びたいことがはっきりしていましたが、入学した段階でやりたいことが決まっていなくても、色々な分野に触れることで学ぶ楽しさに気づき、のめり込んでいけるのではないかと思います。
Iさん 私の場合、前期の基礎演習は日本史を選びましたが、後期は海外の歴史にも目を向けてみたくて西洋史を選びました。日本の歴史においては海外の影響を強く受けた時代もありますし、そういう学びの機会があることはとても魅力的だと思います。幅広い科目から自分の興味に合わせて選んでいくので、最初は時間割づくりに少し苦労しましたが、アカデミックアドバイザーの先生に相談できる環境だったので安心でした。
平井先生 アカデミックアドバイザーというかたちで各教員が何人かずつ学生を受け持ち、単位の取り方などを個別にチェックしてアドバイスします。そうした学生一人ひとりへのきめ細かな対応は、本学だからできるところだと思います。
Iさん 入学当初は環境が変わって心細かったのですが、先生たちが本当に親身になって話を聞いてくださいました。とても頼りになり、ありがたかったです。
Iさん 平井先生の講義は自分の興味のある分野なので、特に楽しいです。高校では踏み込めないところまで詳細に話してくださって、毎回発見があります。ゼミでは学生の発表や意見に対して、ここはどうでしょうと先生が質問を投げかけてくださるので、批判的な思考を磨く訓練にもなっています。
平井先生 2?3年次のゼミは2学年合同で行っています。前期は歴史資料を取り上げますが、学生に分担してもらい、担当部分の現代語訳に加えて登場人物について調べるなどのプラスの報告をしてもらった後、それに対する質疑応答へ。後期は学生それぞれが興味のある分野について先行研究の論文を読み、内容をまとめたり、ツッコミを入れたりして報告し合います。3年次後期には、卒業研究に向けて史料を大量に自分で集め、色々な研究者の見解の違いを見つけて、どれが正しいとか、あるいは間違っているとか、まさに批判的な思考をしていかなければなりません。
Iさん 2年次にゼミで先輩と接した時は、発表の内容や着眼点がすごいなと感心しました。自分が発表して疑問に思わなかったところも、先輩が質問してくれることで新たな気づきを得られます。
平井先生 一つ上の先輩の報告の仕方を手本にして、貪欲に吸収していくことが重要です。ただぼんやりと聞くのではなく、どう質問するかを考えながら聞いてくださいと、口を酸っぱくして言っています。
Iさん 質問は必ず来るものだと思ってゼミに臨んでいるので、準備のしがいがあります。ただ毎回、緊張します(笑)。
平井先生 本学科には、色々な専門分野の教員がいて、それぞれやり方が違っていて、視点も違います。例えば、日本史一辺倒では視野が狭くなることがありますが、ほかの分野も受講していくと、ほかの視点も取り入れてみようと考えられます。
Iさん 私自身、視野を広げられるように、現代社会専修の分野の科目も含めて履修しています。そうすると、歴史と現代社会における課題などのつながりを発見できることがあり、学ぶ楽しさを感じられます。卒業後は社会科の教員を目標にしていますが、私がこれまでお世話になってきた先生たちのように、生徒に社会科の面白さ、学問することの楽しさを伝えられたらと思っています。
平井先生 本学科では、入学当初には学びたい分野が決まっていなくても、色々な分野の科目を履修して興味が持てるものを見つけ、学びを積み重ねていける構造になっています。漠然としていた中から、一つの方向性を自分で探しだし、その先を突き詰める経験をする。それによって、将来に向けての自信もついてくると思います。
Iさん 私は、大学でメディアリテラシーが成長したなとも感じています。高校生の時はSNSなどで見たものをそのまま受け取っていましたが、学科での学びを通して、その根拠はなんだろうと考えたり、こう言っている人もいるけれど違うことを言っている人もいるなと異なる意見を比較したりするようになりました。日常生活の中での情報処理の仕方が、変わってきたなと感じています。
平井先生 それを身につけてくれれば、ある意味十分です(笑)。今は、そこがとても大事になってきていますから。
Iさん 卒業研究では女性史、特に戦国時代から織豊時代の武家の女性の一人にスポットを当ててみたいと思っています。戦国時代を見ていくうちに女性史に興味が出てきて、女性の役割についてより深く学べるのではと思ったことも、実は女子大に進学した理由の一つです。
平井先生 卒業研究は4年間の学びの集大成であり、自分の作品であると考えてほしいです。論文を書き上げることで達成感と次への意欲が得られますし、社会に出た時に受け身ではなく自分から進んでいく力にもなっていくと思っています。
(学年、掲載内容等は2024年取材当時)
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